5月28日に、厚生労働省より2008年の労働災害動向調査が発表されました。近年の労災の動向についてと、その背景を見てみたいと思います。
- 精神疾患
職場のストレスが原因でうつ病などの精神疾患になったとして、2008年度の労災認定を受けた人は269人。過去最多と言われた2007年度よりも1人増え、最多記録を更新した。このうち、過労自殺(未遂も含む)は66人。前年度より15人減ったが、依然高い水準である。過労が原因で精神疾患になったとして労災認定されたのは377人で、前年度に比べ15人の減。
- 過労死
過労死の労災認定は前年度比16人増の158人で、2002年度の160人に次いで多かった。
- 重大な労働災害
一度に3人以上が死傷した重大な労働災害の発生件数は281件。前年より12件(4.1%)減ったが、過去最少だった1985年の約2倍で、過去10年間で3番目の高水準。
- 死傷した派遣労働者数
労災で死傷した派遣労働者の数は5631人。2年連続で5000人を超え、製造業の派遣が解禁された2004年と比べて8倍以上に増えている。業種別では製造業が64.8%を占めており、このうち経験期間1年未満が6割超に上った。
精神疾患、過労死、重大な労働災害、労災で死傷した派遣労働者数いずれも高水準で推移していることが読み取れます。なぜ、労災が増加しているのでしょうか。
まず、うつ病などの精神疾患、過労死に関して、厚生労働省は「長時間労働や成果主義導入などに加え、不況で企業間競争が激化し、過度の緊張感を強いられて心の病を患う人が増えている」とみています。
そして、パートタイマーや派遣労働者など、非正規労働者が増加していることも、労災増加の一因として考えられています。そもそも事業主には、労働者の安全と衛生を守る義務があります。ここで言う労働者は、正社員だろうが、非正社員だろうが関係ありません。ところが、非正規労働者に対する安全管理や教育が不十分になっている、という指摘があります。派遣労働者に対する責任の所在があいまいになっていることも、その原因だと思われます。
派遣労働者の労災事故は増加していますが、派遣先が労災を隠したがる傾向が見られ、報告されている数は氷山の一角でしょう。
まずは、すべての労働者に対して安全衛生教育を行うことが必要ではないでしょうか。労災を未然に防ぐ意味でも重要ですが、何か起こってしまったときに、法令に定められている安全教育を行っていないということになれば、事業主にとってもリスクが高いと言えます。